検索エンジンと回り道

私たちは目標に向かって常に一直線である。

行きたいところには交通手段とネットがあれば最短距離で行けるし、知りたいことは検索すればすぐに知ることができる。

小学生の頃に所属していた学校では、電子辞書を使うことが禁止されていた。

多くの学校においても、そのように教育されることが多いという。

電子辞書ではなく、紙の辞書を使うようにする意図は多くある。その中でも、用語を調べている途中に、パラパラと紙面をめくっている中で目に入る用語や調べたい用語の周辺語が目に入り、新たな言葉との思わぬ出会いがあるため、知識や世界が広がるという理由が大きいという。

ここでの教育的な効果の真偽は不明であるが、確かに私たちは効率化を善とし、回り道や苦労をして知識を得ることに怠惰な体質になっている。私自身、検索エンジンでこうした問題点は自分に対しても日常的に感じており、検索エンジンにおいても世界や知識が広がるような形ができないかと考えていた。そこで、唐突ではあるが、あくまで実験的な試みで、私たちに最も身近な検索エンジンに回り道の考えを入れてみて開発を行ってみる。

まず、従来の検索エンジンは、下図(左)のように入力(検索ワード)と出力(検索結果)の内容がほぼ等しい。例えば、金属という言葉を入力すれば、出力は、「金属とは」「金属について」…など金属と直結した内容が表示される。このように、意図した内容が表示され、検索結果の多様性はあまりない。そこで、今回考えた検索エンジンでは、下図(右)のように入力(検索ワード)と出力(検索結果)の内容を等しくないような設計にする。例えば、金属という言葉を入力すると、「材料」「加工」「木材」「樹脂」「アルミニウム」のように金属とやや近く、しかし少し視野を広げるような内容が表示される。意図しない内容が表示され、検索結果の内容は多様性がある。知りたいことに直結する内容では無いが、程よく近い、回り道をしながらの検索となるような考えだ。

仕組みとしては、wikipediaの日本語全文データを学習させたword2vecのモデルを使用し、入力した語句と同じ文脈で現れやすい語句を上位10語取得し、その語句を検索ワードとして利用している。そのため、検索したい内容と遠く掛け離れた内容ではなく、ちょっと近しい内容を提示する回り道となるような形としている。

ターミナル上では動作可能だが、綺麗なUIまで開発する余裕がなかったので、以下にターミナル上での動作内容を落とし込んだイメージ図を載せる。(思考の境界線を広げるという考えでHORIZONとしている) 図のように検索ワードを金属として検索を行うと、通常であれば、「wikipediaの金属について」や「金属とは?」などが出力されるが、今回はベニヤなどの木材の違いや金属部品のプラスチック化、子供の玩具や乗り物について、当金など、金属とやや近く、しかし少し視野を広げるような内容が出力されている。

今後、10個ほどの検索結果のうしろに本来の金属という検索ワードでの検索結果を載せる形にすることで、回り道後に目的にたどり着く形を実装する予定である。このように、ちょっと知識を広げるような、適度な塩梅での回り道を実装してみた。

テクノロジーに回り道という非効率なものを考えることは、テクノロジー本来の性質とは異なるが、心の余裕や視野の広がりに繋がるきっかけとなるのではないか。今後、あらゆる場面で最適化が行われることで、自分という枠を360度捉えられ、そこから出ることを許さないような情報の供給に、非効率性を考えることこそが抗いうる手段となるのではないか。

今後余裕ができたときにUIまで整えて、一般的な検索エンジンとの比較実験を行いたい。(本当はそこまで今回の記事に入れたかった)

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

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